留学体験に取材した『倫敦塔』、アーサー王時代の物語『幻影の盾』など7つの短篇。同時期の『猫』と全く異質なこれらの作品の世界はユーモアや諷刺の裏側にひそむ漱石の「低音部」であり、やがてそれは彼の全作品に拡大されてゆく。