禅語録の語学的・文学的研究を確立した著者による代表的な論文、随想をまとめる。唐宋代の口語・俗語を多用した禅語録を、精確に解読することで、旧来の伝統的解釈に囚われない新たな禅思想の理解が可能にされる。語録、禅僧の詩偈を解読した論文の他に、寒山、董/蘿石、水滸伝、老子など中国古典文学も取り上げて、広く「禅と文学」の問題が論じられる。白居易、明代の文人、敦煌説話等の中国古典文学に関する論文六篇を、新たに増補した。