歌人斎藤茂吉の長男で医業を継いだ著者が、精神科医としての冷静な眼で父の性格と体質についての科学的考察を試み、家庭における人間茂吉の実態を、体臭を感ぜさせるほど生々しくもかつ揺るぎない愛情を込め、ユーモラスに描き出した。失火や戦災に焼失した医院を幾度も復興させた、家族たちの不屈の精神の記録でもある。