不気味な精神の揺れが地鳴りのように続いていた-。その精神の変調がいっきに激烈な鬱病の発作へと変化し、文学賞の授賞式という晴れがましい席で、人間として生きてゆく絆が完全に失われた。目に入るものはすべて自殺を唆す道具にすぎない…。人間存在の根底を揺るがす不可解な苦悩の実態を文学的にとらえた迫真の記録。