18世紀の平賀源内や司馬江漢に始まるオランダ系洋風画の系譜は、高橋由一の『鮭』や『花魁』において、一挙に雄渾な迫真美の高みに達した。森鴎外と原田直次郎、夏目漱石と浅井忠、そして岸田劉生まで、近代日本勃興期の絵画と文学の親密な相互作用を、比較文化史の視点から描く。大仏次郎賞受賞。