幼い頃自ら能の舞台にも立った経験を持つ著者が、平家物語と謡曲との違い、読むもの、聞くものから見るものへの展開、その魅力の深まりを跡づける。幽霊能の世界を極めた『花伝書』の世阿弥に共感しつつ、能が醸す夢うつつの至福の境へと読者を誘う。平家物語と能への導きとなる二十七章。