「生命科学」は、1970年代に日本で提唱された学問の新領域である。物理科学を基盤に生命現象の本質を追究しつつ、人文・社会科学諸部門との協調のなかで、人間がその生を全うし得る社会の建設を目的とする。環境汚染や医の倫理の乱れなど人間をとりまく状況が混迷を深めゆく今日、生命科学の提起した課題はますますその比重を増しつつある。本書は「生命科学」の全貌を見渡す絶好の入門書である。