ときは大正。"おりん"こと花村林蔵は、湯島の陰間茶屋で下働きをしていた。いずれは、男娼としてひとり立ちしなければならない身だ。その茶屋をのぞきに最近よく来る男が、土砂降りの雨の日、ずぶ濡れで立ちつくしていた。おりんはいたたまれず、番傘を手に飛び出す。こうして、吉田刑事とおりんは出会う。ふたりはやがて恋にも似た思いを抱くのだが…。知られざる、もうひとつの愛憎劇。