光を失った著者は、音を聞き情報を補ってきた。やがて、音自体が、不思議な世界を作りだしていると気づく。大地を渡る風の息吹、折々に表情をかえる雨音、干潟の生物の躍動…。自分なりの"音の目線"を掴んだ解放感は、これまで支えてくれた人々と繋がる音をも、温かく思い出させてくれた-。日常に潜む豊かな世界を瑞々しい感性でとらえたヒーリングエッセイ。日本エッセイスト・クラブ賞受賞作。