イベント事務所で働くサトミのまわりで、異変が起きはじめていた。次々とひとやものが消えていき、最初から「なかった」ことになっていく。机のなかのハッカ飴、採用されたアルバイト、進めていたプロジェクト…。そんな時、同僚の久坂さんが、原因は自分にあると語りだす。彼もまた、失われ続ける世界のなかで、傷つきながら生きていた。第34回えんため大賞受賞作。