いま私たちがわが国の学校で目にするのは、迅速化、効率化、力の能力化など、個人の有用性伸長に傾斜した業績・成功指向の教育と、それに伴う不断の競争及び人間の序列化だ。デューイらアメリカ進歩主義教育の核心には、当時既に胚胎していたこうした状況の根本的転換を意図した思想的起爆剤が込められていた。通念的理解を超え、彼らの思想の中核として、協同性、互恵性、完全化への意志等、倫理感覚に貫かれた社会性概念を析出した画期的研究。