大人になるのはこわいし、さみしい。
「箱があったらその中で眠ってしまいたい。そしてそのままそれを 宇宙の片隅の誰も知らない場所にとばしてほしい」―――
へちゃむくれでネガティブでナイーブな中学生の女の子・岡ちゃんほか、 「平凡だけど、ほんのちょっとだけ特別でありたい。でもやっぱり特別 なんかにはなれない」、そんな多感な中学生達を独特のタッチで 描き出した連作短編集。
【編集担当からのおすすめ情報】 同名タイトルの読切作品(本書第一話として収録)でIKKI新人賞「イキマン」を 受賞した新鋭・奥田亜紀子氏の、これが待望の初単行本となります。
「スクールカースト」という言葉もその意味も知らない中学生女子&男子の、 平凡で、退屈で、ほんのちょっとの楽しさだけを大切に抱えているような日々。 どんな人でも心のどこかで必ず共感できる「あの頃」を、丁寧にリリカルに 描き出しています。
作品中に出てくる以下の文章に、もしわずかでも感じるところがあれば、 きっとこのコミックスは、そんなあなたに必要なものだと思います。 ぜひ、読んでみてください。
「じゅうごねんまえの幽霊より
わたしたちは 誰にも見つかりようのない場所に 取り憑いていたのです
すれ違いざま 横目でとらえた かげぼうしや
机とほほがふれる ときの温度
距離を詰め合う 上履きの音のなかにすら」