宮澤賢治没後80年記念出版
今年は宮澤賢治の没後80年。この間に様々な賢治像が解明されてきたにもかかわらず、その音楽世界は主として童話・童謡的な世界のイメージに留まってきたように思われる。
しかし彼は、当時の最先端を行くクラシック・レコードのコレクターであり、そこから詩や童話創造への根源的インスピレーションを得ていることも多い。本企画では、長くその音源が得られなかった賢治所蔵のレコード音源を、佐藤泰平、クリストファ・N・野澤両氏から提供を受け、賢治の作品創造や生涯に即した視点から編集、2枚のCDに収録した。詩集「春と修羅」執筆に最初のエネルギーを与えたベートーベンの「運命」、童話「セロ弾きのゴーシュ」の背景にあるオーケストラ音の再現、「銀河鉄道の夜」の少年カムパネルラのイメージを喚起したと思われるピアノ曲「ラ・カンパネルラ」の特定など、賢治ファンには興味津々の内容。丹念な資料調査に基づいて、賢治の生涯と音楽の関係を浮き彫りにする萩谷由喜子の解説本を付す。装画は、賢治世界の光と風を描く第一人者・田原田鶴子。最高の布陣をもって、長く失われていた賢治の音楽体験、詩創造の根源の“心象宇宙”を再生させる!
【編集担当からのおすすめ情報】
・賢治自身が死の床で聴いた「牧神の午後への前奏曲」を、賢治遺愛のレコードから再生。 賢治最晩年の心境に肉迫する。
・全16曲中、8曲までが世界初復刻。「運命」「田園」「新世界」など、賢治が耳にした クラシックの名曲が、80年の歳月を超えて追体験可能に。
・最新の資料調査に基づき賢治の生涯と音楽を描く、読み応え充分の解説本付き。