五十年の歳月を共に生きた最愛の夫・トシの手を握り締めながら、病床にある小島信夫氏への想いを、花野の風景の中に刻んで絶讃された表題作のほか、車椅子の上で、通り過ぎていった人々を幽明の境を越えて点綴する「あなめあなめ」「それは遺伝子よ」の二作とエッセイを収録。