カエサルの総合都市整備計画によって地中海帝国としての偉容をととのえたローマは、以降、歴代皇帝たちによって公共事業を施されるとともに、彼らの政治的意図を誇示するための大造営事業の場となった。永遠の都ローマの栄光は都市に刻みこまれていったのである。しかし、最強の軍隊、発展と拡大という豊かな国家としての理念が行き詰ったとき、新しい理念に向けて改造することは、歴史を推積してきたローマには不可能であった。