日本が近代国家として出発したとき、行政を主導する立場にある法科系事務官に対し、技官・技師は脇役的な立場に置かれていた。そこで彼らは大正デモクラシー下に技術者運動を起こし、地位向上のための政治的動きを開始した。しかし彼らの国政への参画という夢が実現したのは、日中戦争下においてであった。戦後の科学技術行政は、戦前の残照と米国の指導下に再スタートするが、本書はそこに至る戦前技術官僚の思想と行動を追う。