私たちはしばしば、日本の都市が暮らしにくく、しかも美しくもない、という実感を抱いている。それは、明治以降の近代都市が産業優先で形成され、建設に際しても、何を建てるかだけが問題となり、周辺状況を考慮することがなおざりにされてきたためである。本書は、公園や街路、建造物などの現場を丹念に取材した成果を盛りこみながら、真に快適な生活空間へと都市を再創造するための道筋を示す試みである。