民俗学者、国文学者にして釈超空の号で知られる歌人、小説家でもある折口信夫。多方面にわたる業績は「折口学」と総称されるが、全貌をひととおり眺めるだけでも容易ではない。本書ではまずその生涯をたどり、関東大震災、二・二六事件、敗戦から占領へという日本崩壊への危機感が稀有な思想家を生み出したことを示す。その上で、折口の思想をナショナリズムとの関係性から読み解き、真の保守主義とは何かを問い直す。