初めてゴーメンガースト城を出たタイタスにとって、外界の事物はあれもこれも耳目を驚かすものばかり、とりわけ、誰一人ゴーメンガーストの存在を知らぬことは、彼の誇りを打ち砕いてしまった。遍歴の途次出会った女の愛を斥け、彷徨を続けるタイタスが最後に見出したものは?幻想文学の山脈に冠絶する最高峰が、ここにその巨大な全貌を現わす。