「幻のオリンピック」と呼ばれる1940年の第12回オリンピック東京大会は、開催都市が自発的に大会を返上した唯一のケースである。名乗りをあげてからわずか5年で誘致に成功という離れ業を演じながら、東京大会はなぜ返上に追い込まれたのか。ヒトラー、ムソリーニまで巻き込んだ激しい誘致合戦、広がる戦火のなかで遅れに遅れる大会準備、侵略戦争非難の大合唱のなかで沸きあがる大会ボイコットの動きなど、戦争と政治に振り回されたオリンピックの悲劇を綴る。