交通-それは、ごく緩やかな行動指針を示しただけで、無数の人間を一緒くたにする実験場である。だから、路上には思いもよらない驚きがある。となりの車線は(実際はそうでなくても)速く進んでいるように思えるし、入念に安全策が講じられた道ほど事故が多かったりする。「交通について考える」とは、通行量調査や道路網整備や車の安全装備を論じるだけではない。それは人間の本質を追求する試みなのだ。多岐にわたるリサーチと世界中の専門家へのインタビューを通して、本書では、運転という日常的な行為に隠された深遠な交通の世界を垣間見ることができる。