人気絶大、いまや国民的時代小説といえる「鬼平犯科帳シリーズ」全24巻を、より読みやすい【決定版】で毎月二巻ずつ順次刊行中。色白でぽってりとした同心・木村忠吾の好物は、豊島屋の一本饂飩。親指ほどの太さの一本うどんがとぐろを巻いて盛られていて、柚子や摺胡麻、葱などの濃目の汁で食べるのである。そんな忠吾が、豊島屋で男色の侍に目をつけられ誘拐される「男色一本饂飩」ほか、ちょっとうまそうな食べ物が脇役となっている作品が印象的な第11巻。「男色一本饂飩」「土蜘蛛の金五郎」「土」「亡き味噌屋」「密告」「毒」「雨隠れの鶴吉」の7篇を収録。