安政7年(万延元年=1860)3月3日、雪にけむる江戸城桜田門外に轟いた1発の銃声と激しい斬り合いが、幕末の日本に大きな転機をもたらした。安全の大獄、無勅許の開国等で独断専行する井伊直弼を斃したこの事件を機に、水戸藩におこって幕政改革をめざした尊王攘夷運動は、倒幕運動へと変っていく。襲撃現場の指揮者・関鉄之介を主人公に、桜田事変の全貌を描ききる歴史小説の大作。