良質の文学は良質の読者を生み出し、つねに俗悪なものと対峙している-。亡命という大きな悲しみの中で、ナボコフは故国の文学をいかに語ったのか。下巻は、ナボコフがロシア最高の小説家と讃えるトルストイの『アンナ・カレーニン』ほか、チェーホフ、ゴーリキー作品を取り上げる。独自の翻訳論「翻訳の技術」も必読。