あっ、キスシーンがない!『未完成交響楽』の検閲に歯ぎしりした小田原の映画少年は、病こうじて戦争末期の東宝撮影所の門をくぐった。以来、国策映画のカチンコを打ち、敗戦直後の東宝争議を経験、『七人の待』や『雪国』を熾烈な助監督の現場をくぐり、『サンダカン八婦娼館・望郷』など昭和を問うシナリオを書きつづけてきた著者の軌跡。