アートフラワーに隠された濃紺の風呂敷包みを届ける途中、上村岬は母娘を車ではねた。「たとえどんな事態になっても、必ず俺が助けてやる」愛人・守藤秀人の言葉で岬のためらいは消えた。殺人と死体遺棄容疑、自首目前の逮捕、示談の決裂、死因鑑定の揺れ。法壇と傍聴席の背後には不穏なさざ波が。量刑に厳しいと評判の神谷裁判長は審理の帰趨をどう判断するのか。