イースト・アングリア地方の穏やかな田園やサマセットのなだらかな牧草地。目の前に広がる愛すべき風景のなかで、人びとは静けさを感じ、心をなごませる。あるいはスコットランドのハイランドやウェールズの山々。荒涼たる原野といえるその地は、人びとの心を揺さぶり、自然の過酷さを教える。南イングランドに暮らした著者が、田園のもつ二つの貌(かお)について、また日々の生活から感じたイギリス人の自然観について、歴史・文学を織りなしながら奔放に語る。"イングリッシュネス(イギリスらしさ)"とは何か。田園と都市、人間と自然について考える九つの物語。