「金沢へ行く」。そう言い残した老人が、石川県「安宅の関」で不審死を遂げた。彼に泉鏡花についての取材をしたばかりだった浅見光彦は、死の真相を確かめに金沢へ向かう。老人の足跡から見えたのは戦後の米軍基地問題を巡る苦い歴史と、さらに迫る闇だった。封印したはずの過去に翻弄される人々。浅見光彦が時を超えて真実を追う社会派ミステリ。