現在日本の精神病入院患者は約三五万人。そのうち、社会的支援さえあれば退院できる人は一〇万人もいる。病状は回復したものの、まだ十分に社会に適応できない人々が街で暮らすには、どのような施設、体制が必要なのか。地域精神医療に長年たずさわってきた精神科医が、心病める人に立ちはだかる困難と、それを切り拓いていく試みを語る。