現代哲学の二大潮流-一つは、ラッセルおよびムーアに始まり、カルナップを中心とする論理実証主義を経て、クワイン、ストローソン、オースティン、そしてローティへと至る英米哲学の流れ。もう一つは、カントに始まり、ヘーゲルらのドイツ観念論へと展開し、ニーチェ、ディルタイからフッサール、ハイデッガーの現象学に至る流れである。ところが、カルナップやクワインを熟読する人はヘーゲルをけっして繙読しようとしないし、フッサールやハイデッガーを愛読する人はラッセルを忌み嫌ってやまない。英語圏の哲学とヨーロッパ大陸の哲学との分裂を克服すべく、英米哲学の基本的主張を原理的に捉え直し、展望する、格好の入門書。