本巻には足穂が昭和二十五年二月に京都に移ってから晩年までに発表した短篇、中篇のエッセイを収録した。前半は、名古屋の故小谷剛氏主宰の同人雑誌「作家」に「莵東雑記」「桃南雑記」として発表した作品を主に収録。後半は昭和四十四年日本文学大賞受賞以後に発表したエッセイを収録した。