自らの拘禁経験と博愛主義の精神から、延べ六回にわたりヨーロッパ十一カ国の監獄を歴訪したジョン・ハワード(1726‐90)は、徹底した調査と観察にもとづいて、監獄の現状を記し監獄改革を提言する報告書をまとめた。本書は、その一部を訳出したものであるが、伝聞を排し、直接見たことだけを記述した社会史の一級史料である。