マンションと、会社と、ラッシュの電車。現代の生活はまさしくマッチ箱のなかのうごめきだ。されば個性をとりもどすための、本音の世界がどこかにないか…。あった、あった、風呂のなか…。唯我独尊の境地ここにきわまると、ラカンのような顔で独り合点したのは露天風呂だった。身も心も裸で語りあえる風呂の世界を、とくに江戸時代の風俗からのぞいてみたのがこの書である。