生前、日本の近代化のために大活躍した福沢諭吉は、死してもミイラとなって明治、大正、昭和の激動期を見すえてきた。この稀有な出来事から発想して、著者は医者の立場から明治の先達に新たな光を当てる。大阪の適塾での医学との出会い、欧米での病院訪問と衛生環境・食事の体験、東大一派によって苦境に立つ北里柴三郎の支援、脚気論争における森林太郎の理不尽、福沢自身の健康法など、多くのエピソードを混じえ、足跡を辿る。