戦後初期のスポーツ雑誌の誌面上には、「高尚さ」や「教養」を語る編集者や読者の声が少なからず存在している。代表的スポーツ雑誌社であるベースボール・マガジン社の雑誌刊行の系譜を追うことで、現在のスポーツ・メディアのあり方とは異質な、スポーツ雑誌と「教養」との結びつきに光を当てる。戦時期の国防意識、占領によるアメリカ文化の流入、高度成長とオリンピック、大衆化と教養主義の終焉など、日本人の戦後精神を跡付ける。