移動生活のため必要最低限のモノしか持たないといわれてきたモンゴル遊牧民。
しかし実際は、目新しいモノに目敏く、他家のモノに対して逐一入手経緯を尋ね、気に入れば譲るよう持ちかける。この自ら交渉し入手する交渉社会では、モノに関する情報はそれ自体が交換財的価値を帯び、各世帯で管理の上、戦略的に秘匿・公開される。
「情報」をキーワードに、これまで着目されてこなかったモンゴル遊牧民のモノをめぐる実践を描き出す文化人類学的挑戦。
巻末には遊牧民一家の生活世界にある資料点数1251点の写真付き全モノ目録を掲載!