19世紀、西アフリカに挑んだイギリス人宣教師の壮絶な闘いを記した表題作「二月三十日」。他に、遠くマラッカ海峡から亡くした子に想いをはせる男、継父に寄り添いながら実の息子との距離を埋められない女、死んだ兄の秘めた顔に戸惑う妹、日本人修道女がブラジルの地で養育する少女…、時にままならぬ人生のほろ苦さを達意の筆で描き出す、大人のための13の短編小説。