島原遊廓に妹千代を売ろうとした両親を殺めてしまった富士太、末は夫婦と大工修業にはげむ宗吉と錦小路の魚屋で働く千代の幼馴染みの二人-。幸せ薄い若者たちの見果てぬ夢。京の建仁寺脇の長屋で、貧しいながらもけなげに生きる人びとの哀歓を描く時代長篇小説。