酒をこよなく愛する酒風慶士郎は、ひょんなことから荒くれ男たちに痛めつけられていた灘の蔵人の喜助を助けた。喜助は、出奔した兄弟子を捜すために江戸に出てきたという。酒にたずさわる者を助けるためならば、損得抜きで全力を尽くしてしまう慶士郎。一緒に兄弟子を捜すうちに金四郎と名乗る謎の男と出会う。金四郎が言うには、どうやら幕閣の間で下り酒をめぐる陰謀が渦巻いているらしい。慶士郎の怒りが炸裂する。