子どもの頃は、どうしてあんなに毎日がくっきりしていたのだろう。自然が息をするのにあわせるように、からだが息をしていた。季節、季節が、新鮮な発見に満ちていた。舗道にのこった夏のキャンディーのしみ。リンゴの皮の味のする秋の風。すっかり葉の落ちたカエデの木。クリスマス・キャロルの懐かしいひびき。初雪。春の訪れ。子ども時代の12カ月の光景を繊細なリズムに刻み、さりげないけれど、とても大切なものを伝える詩のカレンダー。成長するとは、何を獲得することなのだろう。何を喪失することなのだろう。