核軍備の拡大競争が開始された第二次世界大戦後の数年間が、この書物のあつかう時代である。そのとき、核軍拡競争をできればさけたいと願い行動した人びとがいた。しかし、歴史は彼らの期待にそわなかった。実際の歴史がたどった道は、こころよいものではなかった。ただ、どれほどに不合理であったとしても、核競争が始まった時代の歴史を確かめなければ、われわれ自身の今日も展望できないであろう。