越中秀吟歌群12首を巻頭に配し春愁3首を似て閉じる本巻は、家持が格別の思い入れをこめた文芸的香り高い巻であり、まさに家持歌集と呼ばれるにふさわしい。天平勝宝2年を頂点とするこの時期、燦然と輝く家持秀歌の数々は後世、万葉歌の至り着いた境地とも評価される。近年の家持研究の成果の集大成として、待望の注釈書。