苦汁に満ちた生を生きながら、道にさすらい、滑稽におどり、うたった朝鮮の芸能者広大(クヮンデ)。彼らは底辺にあって蔑まれつつも、なお、恨多き一生を終えた者たちにこだわり、その慰霊の旅に進んでわが身を投じた。本書は、諧謔の芸人広大を巫俗の世界にもどして、その「声」に耳傾けるとともに、ミャンマー、バリ島に足を伸ばして儀礼と芸能のうちに映し出されたアジアの神々の相貌を読み解く、民俗紀行の試みである。