勇気と感動
著者自身もずっと知らなかった父親の真実の物語!
妻の両親と弟の窮状を知ったお父やんは、無謀にも一人で戦場に乗り込むと言う。当初は夫の身を案じたお母やんも、決意の固さに無事を祈るしかなかった。祖国の無惨に荒廃した山野、我が子を失った村人たちの怒り。お父やんは彼らを救い出すことができるのか? 著者の父親の実体験をもとにした感動巨編。
この小説はめっぽう面白い。
わくわく、ときに息をつめ、はらはらしながら読むことになる。人物たちは個性的で、物語は波瀾にとんでいて、場面は目まぐるしく動く。サスペンスも、驚きも、意外な成り行きもある。約千二百枚の長さを一気に読ませる力強さがある。そして不思議なことに、読み終わってすぐに序章に戻りたくなる。事実僕は、最後まで読んだあとにもういちど序章を読み返して、この小説の奥行きを知った――<池上冬樹「解説」より>