日本橋に店を構える木綿問屋の伊勢屋忠兵衛が女房のおりんによって殺された。河豚の毒にあたって死んだはずのおりんが夢の中で息を吹き返し、忠兵衛を殺すという奇っ怪な事件だった。不審に思った町娘の乙女は、父親である北町奉行遠山右衛門尉景元譲りの義侠心から事件の裏に潜む真実を暴くべく探索を始めるが…。柔肌に彫られた透かし彫りの桜吹雪が鮮やかに咲き乱れ、非道の悪が闇に散る。