公衆をシニカルにしたのは政治家だけではない。メディアにも責任がある。新聞やテレビが、政治家の権謀術数や私利私欲にばかり焦点を合わせたために、公衆と政治家とジャーナリストの間で「冷笑の螺旋」が止まらなくなったのだ。本書が取り上げるフィラデルフィア市長選挙と医療保険改革論争についても同様である。実証研究は、記事を意味づける枠組みの違いが、すなわち、ニュースフレームの違いが、有権者のシニシズムを高めることを明らかにしている。報道は公共利益のための政治を伝えることができるだろうか。