実兄は幕府の大目付、那須川藩一万八千石の若月丹波守清胤は、故あって傅役の爺と二人で出奔。大館文史郎と名乗り、八丁堀の裏長屋で「剣客相談人」として糧を得ている。そこへ幕府目付から、侍ばかりを狙う白装束の辻斬り探索の依頼が入った。すでに七人が殺され、遺体にはすべて十文字の斬り傷が残されているという。長屋の殿様文四郎、爺、髭の大門が動きはじめた。書き下ろし長編時代小説。