足利義満の親政が始まり、室町幕府の基礎はかたまった。義満は、明から"日本国王"と認定されたが、じじつ皇位簒奪をも考えていた。しかし、衆議と専制に揺れるこの時代の主人公は将軍や守護らではなく、無名の庶民なのであった。しかも、徳政一揆と号したように政治的な「力」として登場したのである。これほど庶民がいきいきと躍動した時代はない。近年明らかになった諸事実にもとづいて、室町時代は、いま新しく書きかえられる。