中国からの日本軍撤兵の実現しないことが、日米関係を決定的に悪化させた。民間人を含めた日米交渉は成功せず、近衛首相はルーズベルトとのトップ会談を企図するが、これも失敗。事態は日米開戦、日本の敗戦、近衛の自決となる。近衛の秘書官牛場友彦氏の体験もとり入れた著者の回想は、軍部の横暴をなんとか抑えようとして苦闘し、それをはたせなかった政治家・近衛の姿を生き生きと再現し、激動の時代の貴重な証言となっている。